昨夜脈絡もなく、そうだ犬たちをからかってやろうと思い立ち、水を入れたシャンパングラスを持ってきてでん!と床に据えてみた。濡らした指でグラスのふちをそっとなぞるとキレイな音が出る、アレをやってみせて、独特の音に犬たちがどんな反応を示すのか観察してやろうという魂胆である。

もったいぶった私の様子に犬たちは釘付け。それぞれ「おもちゃ?」「おやつ?」と勝手な期待を膨らませているようだ。そこでおもむろに指を水に浸し、またひとしきりもったいつけてから演奏を開始する。聞いたことがない音に、ナイトはもちろんこまも仰天した様子。片耳を高くあげて音に聞き入っている。おぉ、予想以上のいい食いつきぶりだ。わはは、びっくりしてら、わははははー。


が、いい気分は一瞬で終わってしまった。この手のちょっかいに慣れているこまがあっという間に飽きてしまい、つかつかと歩み寄ってきて私が演奏しているグラスに鼻をつっこんでさっさと水を飲み干し、あえなく終了。しょぼーん。


そういえば、くちばしが長い鶴が深い器に入れたスープを飲むとかいうお話があったなぁ。「この勝負、顔の長いこまの勝ち」と天の声が告げるのを聞いた気がした、34歳最後の夜であった。