たかがミニチュアダックスだと侮るなかれ、ちびっこナイト君にだっていっちょまえに「一生涯の敵」ともいうべき存在がある。一例を挙げるとそれは例えば「掃除機」。


毎日毎日、何よりも楽しみな食餌の時間。うっとおしいこま兄ちゃんを追い払って夢中でアボダーム(大粒)をがっついている最中であっても、掃除機の気配がちらりとでも感じられた途端、食餌を中断してそそくさとカーテンの陰に隠れてしまう。こまが夢中で掃除機にケンカを仕掛けている傍らで、ナイト君はしっぽを思いっきり下げてしょんぼりとハウスにもぐってしまう。そして空を見つめながら何とも物悲しげにため息をつく。何だお前は。詩人気取りか。


本日唐突に布団乾燥機を買ってきて、早速使ってみているが、どうやらこれもナイトにとって「不倶戴天の敵」であったようだ。静かにうなるモーター音や、いつもと違ってこんもりと盛り上がっている布団にただならぬ気配を感じ取っているらしい。こま兄ちゃんが布団乾燥機本体を興味津々といった様子で調べまわっているのを、やっぱりしっぽを思いっきり下げたまま遠巻きに眺めている。何だお前は。自称霊感強い子ちゃんか。


普段、明るくて気が強くて元気に見えるナイトだけど、案外神経質でこま兄ちゃんよりよっぽど打たれ弱かったりする。鈴蘭ちゃんを迎えた後に、精神的ダメージを受けるのはどちらかと言うとナイトのほうだろう。意識して可愛がってあげようと思う。