今日の帰宅は22時過ぎだった。これくらいの時間になると、玄関に入ったとたんに鈴蘭に「ワン!」と吠えられるのが常である。どうせ今日もそうなんだろうなぁと思いながら鍵をあけたけれど、意外なことに鈴蘭はピーともいわず、こまがケージの中で飛び跳ねる気配がするだけであった。


もしかして鈴蘭具合でも悪いんじゃないだろうか大丈夫だろうかあぁもっと早く帰れるはずだったのにと思いながらリビングのドアを開けると、そこにはしっぽをぶりぶり振って全身で再会を喜ぶ鈴蘭が。…っておい、何でお前ここにいるんだ?!?!


明かりを点けて目に入ったのは、至るところに散らばるティッシュと原型をとどめないその空き箱、齧られた植木鉢カバー、無残な携帯充電器、その他もろもろ。いずれも鈴蘭が今日一日を存分に楽しんだことがうかがわれる形跡ばかり。そして鈴蘭が納まっているべきケージに目をやると、扉が思いっきり全開になっていて、本来ならばそれが開かないようにしてあるはずの金属の棒が姿を消している。そいつは部屋の別の隅っこから発見された。そんなところに落ちてるなんてありえない。


状況証拠から察するに、鈴蘭はケージの扉を固定している金具を自分で抜いて脱出を果たしたとしか思えない。天井から脱出できなくなったと思ったら今度は錠前破りで脱獄か。一体明日から一体どうすればいいんだ。つーか、けなげにケージの中で留守番してる兄たちがあまりにも単純に思えてしまって不憫でならないんだけど。

年明け早々に引き込んだ風邪、かなりよくなったけれどいつものように咳だけ残ってしまった。


こうなるとやっかいだ。完治するまで2ヶ月位はかかるんじゃないだろうか。それまでは吐くほどの激しい咳に悩まされ、同僚の「…こいつホントは結核なんじゃねぇの」という疑惑の目に晒され続けることになるんだ。ちきしょう、なんでこんなに気管支が弱いんだろう。

今日は岩手に出張だった。今朝会社まで歩きながら、南東北といえども何と寒いことかと慨嘆していたもんだったが、さすが岩手は比較にならないほどの冷え込み。帰りの新幹線のホームでビールを空けるのがためらわれるほど。案の定350ミリリットルじゃ飲む先からどんどん醒めていくような冷え込みで、不経済と思いつつも久しぶりにすいすいイケるのがうれしくて、結局新幹線を降りる頃にはまだ早い時間だったにもかかわらずかなり酔っ払ってしまっていた。在来線で隣の椅子に座った学生が不審そうに私を眺めていたが、気にしてなんかいないもんねーだ。

先日、久しぶりにドッグランインディさんに遊びに行った。


とても寒い日だったせいか、晴れていたにもかかわらず他に遊んでいる仔はおらず、ウチだけの貸切状態だった。そこで調子にのって走り回っていた鈴蘭は迷子札を落としてしまったらしく、わざわざインディさんが連絡を下さった上に郵送で届けてくださった。親指の爪ほどの大きさのものを、あの広い敷地からどうやって拾ってくださったのか見当もつかないが、連絡を頂いていなければ今も気づかずにいたに違いない。インディさん、ありがとうございました。


で、当日はあまりの寒さのためにカメラを持つこともできず写真はないが、こまもナイトも勿論鈴蘭も、およそ2時間ほどの間、3000平米のフィールドを縦横無尽に駆け続けていた。人間は寒さと風の強さに竦みあがって立ち尽くすのみ。普段服を重ね着して抱っこをねだってばかりのナイト君まで、全く寒がりもせずにひたすら走り回っていたし、鈴蘭にいたっては、わさわさと生えた毛皮の先に氷の塊をいくつもぶら下げながらも全く意に介せず狂ったように飛び回っていた。喜んでいただいたようでよろしゅうございました。


けれど、普段はこれほどまでにハイテンションで走り回ることがない犬(特に兄)達が、ここぞとばかりに楽しんでいたのは、やっぱり他のわんちゃんがいなかったという事が大きいんだろうなと思うと複雑だ。こまとナイトはオスということもあるんだろうけれど、群れの構成員以外の犬がいるとやっぱり落ち着いて遊ぶどころじゃないんだろうな。小さな時から他の犬たちとのふれあいを欠かさないようにしていたんだけれど、そして犬たちもそれを心から嫌がっている訳ではないんだろうけれど、ホントのところは「家族だけで遊ぶのが一番楽しいよね」と思っているんじゃないんだろうか。


ま、だからといって他の犬たちとのふれあいを止める事を考えている訳ではないんだけれど、そんな事が頭をよぎるたびにちょっと寂しいような思いを抑えることができない。ねぇこまちゃんたち、ホントのところはどう思ってるの?

「寝込んでいる間、犬たちは心配そうにしていませんでしたか」というお問い合わせを何件か頂戴した。


過去には「ママが落ち込んでたりすると、犬たちが慰めてくれたりしませんか」と聞かれたこともあった。答えはいずれも同じ、「特に変わりないです」という素っ気無いものである。


私がベッドの中でうなされていようが、床に座り込んで涙滂沱していようが、こまはおもちゃを咥えて走り回るしナイトは毛布を咥えて振り回してるし、鈴蘭はそこらをぺたぺたと歩き回っている。いや、私が泣いてる時は全員ぎょっとした表情で遠巻きに私を眺めているか。でもそれは「なんか気味が悪いよ」「近づいたら唸られるよきっと」「さっさと切り上げてほしいね」といった表情であって、どう見ても心配してるという感じではない。ふんだ、いいさ、リーダーは孤独なもんさ。


今回は高熱にうなされた私がよれよれと寝返りを打つたびトイレに起きるたび、退屈しきった犬たちが「やっと起きたー!」「このねぼすけー!」「遊んで遊んでー!」と飛び掛ってくるもんだからホント勘弁してほしかった。いつもなら憤怒の形相でくわっと睨みつけて一息に追い散らすところだけど、こちとら瀕死ときては「なにそれなにそれ」「ヘンなかおー」「にらめっこ?」とますます犬たちを調子付かせるばかり。もう頭から布団をかぶって息をひそめて犬たちが諦めるのを待つしかない。


こんなに飼い主不幸なのはウチの犬たちだけなんだろうか。知り合いに「ウチのチワワは私が泣いてるとパパに怒りにいくんですよ」とか仰ってる飼い主さんがいるが、一体どうすればそこまで犬に想ってもらえるんだろうか。もしかして私は育て方を間違えたんだろうか。ちょっと自信喪失気味の病み上がりである。

ようやく復活。いやー、ひどい目にあった。8度台の熱なんて何年ぶりだろう。つーか、8度7分も出たのは初めてじゃないだろうか。


今日、6日ぶりに出社する訳だけど、やりかけの仕事がなんだったかすっかり忘れてしまったよ。通常モードに戻るのは午後くらいになるんじゃないだろうか。いやそれよりも、今日は出張予定は入っていなかっただろうな。うっかり普段着で出社して、慌てて着替えに帰るハメにならないか心配だ。