この3連休中毎日出掛けたドッグランで、パピーらしからぬでっかい手を誇る鈴蘭がダイナミックにウンチを踏んづけた時のこと。


ウンチはに堂々たる手形が捺され、私はぎゃっと叫んだが、当の本人はそんな些細な事で取り乱したりはせず、いかにも楽しそうに私を見上げるのみ。だけどあれだけ思いきりよく踏んづけられちゃ、いくら本人が気にしていなくてもそのままにしておくのはあまりにあんまりだ。騒ぐ私を見かねたスタッフのYちゃんが、うっかり足に触らないように慎重に鈴蘭を抱っこして、足を洗いにトリミングコーナーに連れて行ってくれた。その時。


こまがYちゃんの後をついていくではないか。そして、連行される鈴蘭に目を向けたまま広場の出入り口までついて行き、トリミングコーナーに消えた後もずっと目で追っている。普段あれだけ鈴蘭をシカトするこまが。鈴蘭(とナイト)が入院した時も全くいつもと変わりなく、むしろ常よりも寛いだ様子を見せていたこまが。ドッグランでは「いつもママの傍を離れないね〜」なんて言われるこまが。鈴蘭を怒るつもりでうっかりナイトを怒ってしまう位に、鈴蘭の事が気に入らないと思っていたのに、これは一体どうした事か。


しばらくしてこまは面白くなさそうな足取りと顔つきで私の傍に戻ってきたが、背後を振り返ったかと思うとまたぷいっと向きを変えて、一人で広場入り口に歩いていってしまった。そして足を流してもらった鈴蘭がYちゃんに抱っこしてもらって戻ってきた時に、こまもその後ろを相変わらずつまらなそうな顔つきでてくてく歩いて戻ってきた。


地面に下ろしてもらった鈴蘭に嬉しそうにちょっかいかけられたからといって応じる訳でもなく、もう済んだ事だといわんばかりのそっけない態度でまた私の傍に腰を下ろすこま。鈴蘭を迎えてもうすぐ2ヶ月。私が気をもむまでもなく、こまは自分で鈴蘭との距離を縮め、自分なりの付き合い方も見つけつつあるようだ。鈴蘭も多分こまのことを怒ってばっかりのイヤな兄ちゃんとは思ってないだろう。一人で草むらに遊びにでかけたこまと遠くから駆け寄ってきた鈴蘭がいっしょに草むらに顔をつっこんでいるのを見て、こういう幸せをくれる犬たちにあらためて感謝したくなった。

「兄ちゃん、これなーに?」「じゃま」