「電車でしか行かれない駅」、正確に言うと「夏の間だけは車で行かれる駅」があると知って、わざわざ夏休み中に見物してきた。言うまでもないが車で行ってきたし、駅が見たかったんじゃなくて「変わった場所に行きたかった」からこそ目的地と設定したんである。毎度毎度くどいようで申し訳ないが、決して「撮り鉄」でも「ナントカ鉄」でもないので悪しからず。

そこはスキー場のまん前の駅。


その駅はJR仙山線面白山高原駅。行き難い場所にあることから「秘境駅」とか言われているそうな。ま、ナニ駅と言われようが、道路大好き「みっちゃん」な私にはそんなことにはあまり興味をそそられない。でも秘境と言うからにはホントに秘境なんだろう、当然舗装なんかされてないだろう、どんなけワイルドなドライブなのかなぁ、わくわく、と思っていたが、意外なほどにあっさりと駅にたどり着いてしまう。道も狭いとは言え、すれ違いが全く出来ないわけでもないし。駅そのものもちゃんとしてるし、自販機だって稼働中だし。でも、険しい峡谷をすぐ背後に背負っているあたりはなかなか味わい深い場所だといえるかも。

やっぱ秘境かも。


駅のすぐ裏手から、川沿いに散策路が整備してある。といっても、橋はゆらゆら、階段はパイプだし、道は狭くて足を踏み外したらシャレにならんってなレベル。おっかないモノが出てきたらどうしようとおっかなびっくりな人間(私)に対して、四駆のケモノたるこまと鈴蘭はやる気まんまん、ぐいぐい進んでいく。

「じゃまだじゃまだー!」「兄ちゃんこそそっち行ってよ!」

それにひきかえ、同じように四駆の身でありながらナイト君はへっぴり腰。座敷犬には秘境過ぎたんだろうか。

腰抜けた。

静かな河原には、石に腰掛け流れを眺めつつ、一人ワンカップを傾けている人がいた。車で来た身には味わえない楽しみ方で、ちょっとうらやましく感じたけれど、だからといってわざわざ電車で再訪することもないだろうな。でも、駅から5分も行かない場所に、隠れ家のようにひっそりとひらけた河原と滝があったりして、思いのほか素敵な「秘境」だったかもしれないな。