結局好きなお店なのよ。

県外のあるお客様のもとを久しぶりに訪問した。


この客先に出張する時は、その近所のパスタ屋で昼食を摂ることが多い。そこはメニューが豊富で店構えもしゃれていて、店員さんも元気で愛想よし。ただし出されるパスタのほとんどが不味いという、致命的欠陥がある。しかも、不味くないものは美味いのかというとそんな事はない。ただ「不味くはない」だけである。頼むパスタが片っ端からハズレなので、こちらの期待を裏切らないあたりがかえって好ましく思える程だ。


今日もその店で昼食を摂った。メニューはチーズトマトパスタ。これは数少ない「不味くはない」パスタであり、タバスコを好きなだけかけて食せば少なくとも辛さだけは満足いくものに仕上がるので、新メニューに挑戦する気力がない時はこれをオーダーすることにしている。


さて、待つことしばし、目の前に置かれたほかほかのパスタにたっぷりとタバスコをふりかけ、フォークでくるくるやってあーんと口に入れた瞬間。…ん?


味がない。熱を加えたトマトとチーズ(とタバスコ)の味はするけどそれだけ。他には何の味もしない。


こりゃ絶対に味付け忘れてるな。基本中の基本の調味料、塩すらも入れてないだろう。そうか、その手があったかー!しばらく食べてない間に不味さが新境地に達したようだ。期待通りに期待ハズレな思いをさせてくれるなんて、さすがプロだね!ぽん!(膝を打つ音)


という訳で今回はタバスコだけじゃなく、テーブル備え付けの醤油までかけて食う事になった。赤と黄色の色鮮やかなパスタに、タバスコと醤油をまわしかけて食う女。相席した見知らぬ女性が怪訝な顔で私と皿を見比べてるのが、非常にいたたまれなかったです。